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事故で両手を失い、手の移植を受けた男のノンフィクションである。別にとりわけ人に薦めたい本ではないが、中に出てくるエピソードにおもしろいのがある。
この人、移植を受ける前に義手を作る。ところが、ちゃんとサイズを測って作ってもらったにもかかわらず、出来上がった義手は長すぎて、着用すると手長ザルのような姿になった。すると、義手を作った外科病院が、なんて言ったと思います? 腕の方を手術で短く切ったらどうかと言ってきたそうだ。
まさか、と思うでしょ。しかしオレは、ありうる話だと思うね。フランス人なら、それぐらい言いかねない。彼らはとりあえずダメ元で、自分たちの都合を主張する。都合の悪いことは全部、他人に押しつける。そうすることを彼らはデバ(ディベート)だと称する。
こうして押しの強いヤツ、口の達者なヤツが一方的にトクをし、良識を持つ人間、気の弱い人間は一方的にソンをする。だれだってソンをしたくないから、フランス人は相手を言い負かそう、相手に付け入られないようにしようと絶えず気を張っている。
その結果、だれもが他人に心を許さず、社会が常にギスギス緊張しまくってる。世界中でフランス人がいちばん嫌いと常日頃オレが言うのは、主としてこういう理由からだ。
いまも記憶に新しいフランスの移民暴動(05)。もっぱらフランス社会の移民差別に対する反発と見られていたが、なんとあれは、ユダヤ系のサルコジを仏大統領にするためのヤラセだったという見方が出てきた。
『田中宇の国際ニュース解説』によると、イスラエルの諜報機関のメツァーダとLAPがフランスのアラブ系住民地区にもぐり込み、暴動をあおったという。言うまでもなく、反移民の空気を仏社会に作り出すためだ。暴動に対してサルコジは周知のとおり、アラブ系移民を社会のクズと呼んで強硬姿勢をとり、仏中間層の支持を増やして大統領の座に登り詰めた。
というと、伝統的にアラブ寄りだったフランスを自陣営に引き込むため、イスラエルが傀儡のサルコジを支配者に据える工作をしたように聞こえるが、これにも裏があって、逆にサルコジが中東での利権を確保するためにイスラエルを利用しているのだそうだ。
泥沼のイラク戦争で、中東におけるアメリカの覇権は、もう風前の灯である。アメリカが中東から手を引けば、イスラエルは嫌でも滅亡する。そこで、いまはアメリカやイスラエルと仲よくしておいて、彼らが撤退するときスムースに利権を譲り受ける魂胆なんだと。
そう都合よく行きますかねえ。そのときには、アラブ諸国も強くなっているだろうし。ともあれ、筆者の田中宇氏は「本人の希望的観測で」(Wikipedia)書くことが多い、とも言われるが、興味深い見方ではある。フランスの移民暴動に、無目的の破壊衝動という性質があったことは事実だし。